スピンラザとは 

スピンラザは、米国で開発された世界初のSMA治療薬です。

スピンラザはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)と呼ばれる短いヌクレオチド鎖です。ASOには不要なタンパク質の発現を減少させるもの、必要なタンパク質を増加させるものがあります。

ASOであるスピンラザは、SMN2遺伝子からSMNタンパク質がつくられる過程の分子(メッセンジャーRNA)にはたらき、SMN2遺伝子からつくられるSMNタンパク質を増やすことができます。

この増えたSMNタンパク質により、運動神経のはたらきが維持され、脳や脊髄からの信号が筋肉に伝わるようになります。

スピンラザの臨床試験では、スピンラザを投与した乳児型(主にⅠ型)のSMA患者さん(7ヵ月齢以下)のほうが、投与しなかった患者さんに比べて、運動機能が改善したり、自力で呼吸する力を保たれた方が多かったという結果が得られました。また、乳児型以外(主にⅡ型またはⅢ型→ 「SMAのタイプ」 参照)のSMA患者さん(2~9歳)を対象とした臨床試験でも、スピンラザを投与した患者さんのほうが投与しなかった患者さんに比べて、運動機能の改善が認められました。

SMAのある人にスピンラザを投与した場合

図はイメージです。神経の状態は、それぞれ異なります。

スピンラザの作用 

スピンラザは脊髄を取り囲む髄腔(ずいくう)という部分に注射して投与します(髄腔内投与)。

髄腔の中には脳脊髄液という液体が流れており、脳と脊髄の間を行き来しています。

スピンラザは髄腔内に投与するため、代謝などの影響を受けにくく、脊髄を取り囲む脳脊髄液に入り、直接SMAの病変に届き作用します。

スピンラザはSMN1遺伝子を持っていない、あるいはSMN1遺伝子変異があり、SMN2遺伝子が1コピー以上ある場合に有効性を示します。

スピンラザはSMNタンパク質がつくられる過程の分子(メッセンジャーRNA)の特定部位に作用するように設計されたASOであり、他の遺伝子に影響しないようにつくられています。これまでのところ、他の遺伝子に影響を与える可能性は低いと考えられています。

スピンラザの作用