「SMAとは」で示した脊髄前角細胞の変性はSMN(survival motor neuron)タンパク質というタンパク質が不足することによって起こると考えられています。

SMAのない人では、SMN1(エスエムエヌワン)遺伝子が、SMNタンパク質をつくっています。

SMAのある人では、多くの方がSMN1遺伝子を持っておらずSMN1遺伝子からはSMNタンパク質をつくることができません。かわりに、SMN1遺伝子の「バックアップ遺伝子」であるSMN2(エスエムエヌツー)遺伝子からSMNタンパク質がつくられます。

しかし、SMN2遺伝子からつくられるのは、ほとんど(約90%)が不完全なSMNタンパク質です。

このため、運動神経のはたらきが維持できなくなり、脳や脊髄からの信号が筋肉に伝わらず、筋肉が少なくなったり、力が入らなくなります。呼吸するための筋肉も弱くなった場合は、自力で呼吸することも難しくなります。

※ほとんどのSMAはSMN1遺伝子の欠失または変化によって起こりますが、ほかの遺伝子が関わっている場合もあります3,4,5


SMAの原因

図はイメージです。神経の状態は、それぞれ異なります。

1. National Organization for Rare Diseases. Spinal muscular atrophy.
https://rarediseases.org/rare-diseases/spinal-muscular-atrophy/ Updated 2020. Accessed November 9, 2021.
2. Lunn MR, et al.: Lancet. 2008; 371(9630): 2120-2133.
3. Lefebvre S, et al.: Cell. 1995; 80(1): 155-165.
4. Sugarman EA, et al.: Eur J Hum Genet. 2012; 20(1): 27-32.
5. Wirth B.: Hum Mutat. 2000; 15(3): 228-237.



 

SMAは常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患〔じょうせんしょくたいせんせい(れっせい)いでんせいしっかん〕です。そのため、両親からそれぞれ1つずつ、欠失した、または変化のあるSMN1(エスエムエヌワン)遺伝子を受け継いだ子どもにのみ発症します。欠失した、または変化のあるSMN1遺伝子を1つのみ受け継いだ子どもはSMAを発症しません。