banner of sub-title
banner of sub-title

はじめに

SMAの治療薬 スピンラザは、腰椎穿刺(ようついせんし)という方法で髄腔内(ずいくうない)に投与します。この腰椎穿刺という処置は、一般的にあまりなじみのないものであるため、これから治療を始めるSMA患者さんやご家族の方から、スピンラザの投与について疑問や不安の声をお聞きすることがあります。
このページでは、このようなみなさんの疑問にお答えしました。これから治療を始める患者さんの、治療に対する理解の一助となれば幸いです。

Q1. これから初めての投与を受けるのですが、なんとなく不安です

これまで受けたことのない処置をご自身が、あるいはお子さんが受けるのですから、不安になる気持ちはとてもよくわかります。しかしSMAは進行していく病気であり、治療を行わずに過ごしていくことによって、今はできていることも、将来できなくなってしまう可能性があります。
SMAにはこれまで治療薬がなく緩和療法(かんわりょうほう)が治療の主体でしたが、2017年に初めてSMAの治療薬であるスピンラザが日本でも使えるようになり、SMAはようやく治療ができる疾患となりました。現在も世界中にスピンラザ治療が広がりつつあります。この新しい治療を受けると決められたことは、とても大切な決断だと思います。
腰椎穿刺は、いろいろな検査や治療のために、以前から病院で行われてきた処置のひとつです。腰椎穿刺を実際に行う医師は経験を積んでいますので、不安な方は医師に相談してみるとよいでしょう。
当院では、初めてのスピンラザ投与のときは3日間入院していただき、お薬や注射による影響をチェックするようにしています。2回目以降の投与では、投与後に問題がなければ1泊2日で退院となったり、体調がよければ日帰りも可能となる場合もあります。

当院で実際に投与を受けた患者さん、ご家族の声

Avatar Image

20代 Ⅱ型の患者さんの保護者の方より

娘は、背中に注射を打つのは初めてのことなので、最初の投与の前は「私の体はどうなってしまうのかな」と不安をもっていました。しかし、治療を受けることで少しでも未来が明るくなれば、夢が広がれば、と思い、治療を決意しました。初めての投与を受けてからは不安もなくなり、治療を受けられる喜びから性格が明るくなってきたようです。
Avatar Image

20代 Ⅱ型の患者さんより

以前通院していた病院では、先生から「病気が進行しすぎているため、治療を受けても効果はないかもしれない」といわれていたので、治療を受けるか迷っていました。でも、自分は今、仕事をしており、個人的にも社会的にも大きな責任を背負っているので、少しでも症状の緩和につながればと思い、治療を決断しました。
Avatar Image

20代 Ⅱ型の患者さんより

最初は恐怖と不安でいっぱいで、「背骨に注射するの…?」「もしも副作用が出て生活に支障をきたすようなことがあるのなら、今のままでよいのでは…」など、いろいろなことを考えて悩みました。また、注射のための入院に、泊りがけで付き添ってくれる母のことも心配でした。
でも、急に病状が進行してしまうことがあるかもしれない、という将来を考えたとき、怖くなったのです。そこで、納得がいくまで何度も先生に質問し、すべての疑問に答えていただきました。これによって心が決まり、「一度受けてみて、あまりにも辛くなったらまた考えよう」と踏み出すことにしました。今では、体調に問題がなければ日帰りで投与を受けることもできるようになったため、精神的にも楽になりました。想像していたよりも気軽に治療を続けられています。

個人の感想であり、すべての患者さんにあてはまるわけではありません。
Q2. 注射が怖いのですが…

腰椎穿刺は通常の注射と同じように針を刺すので、針を刺す痛みはありますが、鎮痛薬(ちんつうやく)※1 も使いますので、痛みは最小限に抑えることができます。また、腰椎穿刺に使う針は、一般的な点滴や、大人の採血に使う針とそれほど変わらない太さのものであるため、他の注射に比べて腰椎穿刺が特に痛みが強いというわけではありません。どうしても注射に対する恐怖感がある患者さんでは、鎮静薬(ちんせいやく)※2 を使って恐怖感を和らげることもできます。
投与後は、傷口の痛みは多少あるようですが、その他の痛みについての訴えは、当院ではこれまであまり聞いたことはありません。

※1 鎮痛薬:痛みを取り除いたり、軽減するために用いる医薬品
※2 鎮静薬:中枢の興奮をしずめ眠くなる作用のある医薬品

当院で実際に投与を受けた患者さん、ご家族の声

Avatar Image

20代 Ⅱ型の患者さんより

髄腔内投与と聞いていたので、どの程度の痛みなのか、自分のように側弯があっても受けられるのかが気になりました。何度か投与を受けた今では、投与にそれなりの痛みは伴いますが、今後も治療を続けたいと考えています。
Avatar Image

20代 Ⅱ型の患者さんより

最初の投与を受ける前は、ずっと痛みについて心配していました。しかし実際の投与のときには、先生が細かく調整してくださったため、想像していたよりも痛みは少なかったです。変に力んだり、動いたりしてしまわないよう、深呼吸しながら、できるだけリラックスして投与に臨んでいます。

個人の感想であり、すべての患者さんにあてはまるわけではありません。
Q3. 注射によって後遺症(こういしょう)が起きたりしないでしょうか?

スピンラザ投与のときには、後遺症が起こる心配の少ない部位に腰椎穿刺をします。
注射を行う部位にある「馬尾(ばび)」という神経は、何本もの糸のような神経が、脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体に浮いている状態になっています。
そのため、注射のときに針が神経に触れる可能性はありますが、通常の腰椎穿刺によって神経が切れたり傷ついたりすることはありません。空中の柳が折れないのと同じです。

スピンラザの投与方法
Q4. 治療のために通院し続けるのが大変そうです

スピンラザによる治療は、治療を始めてすぐの導入の時期(乳児型SMAの患者さんで9週間、乳児型以外のSMAの患者さんで12週間)を過ぎると、次回の注射までの間隔が長くなります。導入の時期が過ぎたあとの注射の回数は、乳児型SMAの患者さんで1年に3回、乳児型以外のSMAの患者さんで1年に2回です。また、1回の投与のための入院期間は、患者さんやその日の体調によっても異なりますが、日帰りで投与できる場合もあります。
投与のための受診の機会を活かして、前回の投与からの変化を主治医と確認したり、リハビリについて作業療法士や理学療法士に教えてもらうなど、日常生活で困っていること、気になっていることを相談してみるのもよいのではないでしょうか。

治療についてご不明な点や気になることがある場合は、
主治医にご相談ください。